サワードウスターターフィーディング比率の比較観察
スターターのベストなフィーディング比率はどれか?
種:粉:水=1:2:2? 1:3:3? それとも、1:5:5?
インターネット上やレシピ本では様々な方法が紹介されており、結局のところどれが正解なのか。
これはサワードウブレッド作りの過程で議論になりやすい1つのテーマです。
なんとなくこうなのだろうなというイメージはありましたが、あらためて自分のスターターで実験をしてみることにしました。
今回は、同じホワイトスターター(ルヴァン種)を使い、25℃の環境下で比率だけを変えて観察してみました。
この観察では、”高さ”だけでなく、香り・泡の質・ピーク時間も含めて総合的にみています。
その結果、
・私のスターターの場合、この環境下では1:3:3が安定してよく膨らむ
・ただし、気温や目的に応じて調整できるのが理想
ということが見えてきました。
実験条件
- 温度:25℃
- ベーススターター:強力粉100%のホワイトスターター
- 比較した比率:
① 1:2:2
② 1:3:3
③ 1:4:4
④ 1:6:6 - それぞれの膨らみ・香り・ピーク時間を観察
結果:一番よく膨らんだのは「1:3:3」
観察の結果、1:3:3が最も高く膨らみ、
ピークまでの時間もほどよく、香りもバランスの取れた印象でした。
| 比率 | 膨らみ | 特徴 |
|---|---|---|
| 1:2:2 | ★★★☆☆ | 発酵が早く、ピークアウトも早め。酸味が出やすい。 |
| 1:3:3 | ★★★★★ | 膨らみが最も良く、香り・食感のバランスも良い。 |
| 1:4:4 | ★★★★☆ | ゆるやかで安定。ピークまでやや時間がかかる。 |
| 1:6:6 | ★★★☆☆ | ゆっくり発酵。酸味は穏やかで落ち着いた印象。 |
<参考>なぜ1:3:3がよく膨らむのか
AIに尋ねてみたところ、以下の回答がきました。(あくまでも参考としてご覧ください)
=====
1:3:3は、酵母と乳酸菌の活動バランスが最も取れやすい比率です。
【1】乳酸菌と酵母の性質
🦠 乳酸菌(Lactic Acid Bacteria)
- デンプンを分解して乳酸・酢酸などを作る
- 酸味、深い香り、保存性を付与
- 酸に強く、pHが低くても活動できる
- ただしガスはほとんど出さない(膨らまない)
→ “味と酸”担当。ゆっくりした性格。
🍺 酵母(Yeast)
- 糖を食べてCO₂(ガス)とアルコールを作る
- 膨らみの高さ、気泡の軽さに直結
- 酸に弱い:pHが低すぎると元気を失う
- 栄養が豊富で酸が少ないほどよく活動
→ “膨らみと香り”担当。元気で食いしん坊。
つまり、
乳酸菌は“落ち着きタイプ”、
酵母は“元気で食いしん坊タイプ”。
この2つが同じ瓶の中で、一緒に暮らしているのがサワードウスターターです。
️ 【2】「フィーディング比率」は、ふたりの“ごはんの量と部屋の広さ”
比率(例:1:3:3)は、
「スターター:粉:水」の割合=彼らに与える“ごはんと住むスペース”のバランスです。
たとえば——
🍽️ 1:2:2(少ないごはん)
スターターが多く、餌が少ない。
つまり「小さな部屋に大勢が住む」ような状態。
→ 酵母も乳酸菌もすぐに食べ物を使い切り、発酵が早く進むけれど短命。
酸が早く溜まり、酸っぱい&ピークが早いタイプになります。
🍞 1:6:6(たっぷりごはん)
スターターが少なく、粉と水が多い。
「広い部屋に少人数でゆったり暮らす」ような状態。
→ 酸の蓄積がゆるやかで、乳酸菌が静かに活動。
発酵はゆっくりですが、酸味が穏やかで安定した香りになります。
🧡 1:3:3(ちょうどいいごはん)
酵母と乳酸菌の両方が、ストレスなく活発に動けるバランス。
酸も出すぎず、ガスも十分発生し、一番膨らみが良く、香りも豊かになります。
つまり・・
● 栄養と酸度のバランスが最適
- 1:2:2では酸が早く溜まり、酵母が途中で失速。
- 1:6:6では酸が薄まり、発酵が始まるまで時間がかかる。
→ 1:3:3はその中間で、酵母の勢いと安定性を両立できます。
● 酵母がスムーズに“発酵モード”へ
希釈が多すぎると呼吸に偏り、膨張が遅れます。
1:3:3なら酸素を使い切るタイミングが早く、
ガス発生(CO₂)がしっかり起こります。
● 微生物の勢力バランスが安定
乳酸菌が過剰にならず、酸味が穏やか。
香りの発酵生成物(アルコールやエステル)も豊かになります。
【3】比率を調整する目安
これらの結果から、スターターの状態・季節・目的によってフィーディングの比率は以下のように調整すると言えそうです。
| 状況 | 推奨比率 | 目的・理由 |
|---|---|---|
| ️暑い日(26℃以上) | 1:4:4〜1:6:6 | 発酵をゆるやかにし、酸味を抑える |
| ️寒い日(20℃以下) | 1:2:2〜1:3:3 | 酵母を早く起こす |
| ピークまでを長くしたいとき | 1:5:5〜1:6:6 | ゆっくり発酵で安定 |
| すぐ使いたいとき | 1:2:2〜1:3:3 | 早くピークに到達させる |
| 元気がないスターター | 1:1:1〜1:2:2 | 酸を強めてリフレッシュ |
| 酸味を抑えたい | 1:4:4〜1:6:6 | 酸の蓄積を抑える |
| 酸味を出したい | 1:2:2 | 乳酸発酵を優位にする |
まとめ
1:3:3は比較的どのような環境下でも安定して膨らみますが、スターターの状態によって最適なフィーディング比率を選びながらお世話をしていくのが良いと言えそうです。













